VIDEODROPによるLNPの濃度評価

VIDEODROPを活用したLNP解析

VIDEODROPは干渉計の原理に基づきナノ粒子のサイズと濃度の測定を短時間かつ高い再現性で可能にする革新的なナノスケールイメージング技術です。

  • OneDrop&OneClickのリアルタイム測定
  • 高い再現性で測定者間の誤差を最小限に抑える
  • 未精製・未標識のサンプルをそのまま測定

核酸医薬の評価においては粒子サイズやその分散状態、ゼータ電位などが物理化学的パラメータとして重要視されていますが、VIDEODROPを用いた単一粒子測定技術を使用して粒子濃度をモニターすることにより煩雑なアッセイ工程を行う前にに品質管理や安定性評価、比較研究の標準化に役立つデータを集積し、新しい製剤や製造工程、保存条件の開発において粒子数を効率的に比較することができます。
そこでVIDEODROPを用いて異なる条件下でmRNA-LNPの粒子数を比較し、トランスフェクション活性に対するプロセスまたは脂質膜組成が及ぼす影響について焦点を当てた測定結果をご紹介いたします。

VIDEODROPによるLNP(脂質ナノ粒子)解析の概略

図1. mRNA-LNP製造におけるVIDEODROPの活用イメージ

LNPの粒子濃度が重要となる工程

VIDEODROPを用いたLNP(脂質ナノ粒子)濃度評価実験の概要

mRNA-LNPを利用したナノメディシンの製造において評価を行うべき項目は複数存在します。
ここでは ①LNPを合成の用いる試薬の種類 ②LNPとRNAを混合する速度 ③バッファー交換によるロス ④保管条件によるロス の4点について、それぞれ製造条件を変えたサンプルに対してVIDEODROPの測定とフローサイトメーターを使用した細胞への核酸送達アッセイの結果を比較し、各工程における濃度測定の重要性について評価を行いました。

解析結果 粒子濃度はトランスフェクション活性に影響するか

脂質組成の最適化

この実験では、脂質組成の異なる2種類のLNPを同じプロセスで製造し、それぞれのサンプルについて測定を行いました。
粒子濃度は脂質組成の影響を受けませんでしたが、脂質組成1は脂質組成2に比べて高い活性を示しました。粒子数はほぼ同じであるにもかかわらず、脂質組成1は脂質組成2に比べてより効率的です。

混合速度の最適化

ここでは、混合速度の最適化評価としてマイクロ流体デバイス上での混合速度(流速)を2~18mL/minまで変化させたLNPの濃度とトランスフェクション活性を比較しています。
LNP自体の組成は同一ですが、混合速度を変更することで粒子濃度とトランスフェクション活性に大きな影響を与えています。粒子の数に直接関係します。

バッファー交換の最適化

タンジェンシャルフローろ過(Tangential Flow Filtration : TFF ) を用いたバッファー交換や濃縮ステップは、LNP合成用のバッファーを投与用のバッファーに置換することや、製剤の濃度を高めて力価を向上させるため、LNP合成において重要な工程です。
このケースでは、バッファー交換のステップで粒子数が75%減少しており、TFFの工程を最適化する必要性を確認することができます。

保管の最適化

製品の品質を確保するためには、保管条件を最適化することが不可欠です。この実験では、+4°C または -20°C で保管された同じmRNA-LNPを測定しました。
測定の結果、+4℃の条件と比較して、-20℃での保存は、活性の低下とともに粒子数の減少につながることが明らかになりました。

結論

  • Videodropは1滴でLNPの粒子濃度と粒度分布を測定できる、すぐに使い始められるツールです
  • Videodroで迅速かつ容易に濃度を測定できるため、製造工程の管理がより良いものとなります
  • 比較研究において、ナノ粒子の数を用いて細胞ベースのアッセイ(トランスフェクション活性)を標準化することで、異なる条件下で製造されたLNPの評価が向上します

VIDEODROPは、LNPの品質を評価する分析戦略を完成するための理想的なツールです。

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