LNP 脂質ナノ粒子とは

LNPを測定するナノ粒子測定装置のラインナップ

LNP 脂質ナノ粒子の概要と活用事例

LNP( lipid nanoparticle:脂質ナノ粒子)は脂質を主成分とするナノサイズの粒子であり、DDS(drug delivery system:薬物送達システム)などの用途に用いられています。近年はLNPを利用したmRNA含有LNPがモデルナワクチンやファイザー・バイオンテックSARS-CoV-2ワクチンとして用いられたことから世界的に話題になりました。また薬剤の開発が困難な病気を治療するために核酸医薬と呼ばれる、DNAやRNAなどの核酸をLNPに含有させてた薬剤を投与し、生体に直接的に作用させて治療技術も開発されているなど、LNPの医薬品としての活用が加速的におこなわれています。

一般的にDNAやmRNAなどの核酸は生体内で分解されやすく、これらを細胞に導入する方法としてエレクトロポレーションやパーティクルガン、生体外トランスフェクションなどのさまざまな手法が開発されていました。しかし医薬品という観点ではLNPを利用した送達手法が広く用いられています。LNPは血清ヌクレアーゼ活性や免疫成分から隔離された区画を核酸へ提供し、キャリアによって特定の標的部位への送達を行うことができます。したがってLNPは核酸の送達において重要となる核酸の保護と標的部位への送達という2つの役割を担うことができます。またLNPによるアジュバント活性はワクチンの効果を高める事にも寄与すると考えられています。

核酸医薬への研究応用

核酸医薬とは「核酸あるいは修飾核酸が十数〜数十塩基連結したオリゴ核酸で構成され、タンパク質に翻訳されることなく直接生体に作用するもので、化学合成により製造される医薬品」と定義されます。核酸医薬ではLNP内に2本鎖DNAやmiRNA、mRNAなど様々な種類の核酸を含有させ、標的に対して転写阻害やmRNA干渉、標的タンパク質への作用阻害などの働きかけを行います。
現在では低分子医薬、抗体医薬に次ぐ第3の医薬として各種疾患の治療に有望視されており、核酸治療を可能にするための安全かつ効果的なデリバリープラットフォームが開発されています。

mRNAワクチン

メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンはmRNAと呼ばれる天然化学物質の人工複製物を使用して免疫反応を起こすワクチンであり、従来のワクチンと比較して迅速かつ安価に製造することができます。特に2020年のCOVID-19におけるワクチン開発の最前線にいたのがmRNAワクチンでした。
mRNAはサイズが大きく負に帯電しているため細胞膜の陰イオン性脂質二重層を通過することができず、さらに体内では自然免疫系やヌクレアーゼによって分解されてしまいます。そのためmRNAを投与して治療目的で活用するためには細胞内送達技術における分解からの保護および循環系での安定性確保、標的組織への局在などをLNPの働きによって実現する必要があります。LNPによるアジュバント活性はワクチンの効果を高める事にも寄与すると考えられています。

LNP測定の重要性

核酸医薬の挙動は、その組成や特性、粒度分布、形状、表面特性、粒子濃度、薬物負荷効率、標的リガンドの種類と密度など、さまざまな物理化学的特性によって決定され、これらの特性を包括的に評価することは、核酸医薬の設計、開発、品質管理を向上させることにつながります。このようなLNPを活用した治療薬開発は特に注目されている研究分野のひとつとである同時に、より高機能のLNP開発を進めるために高分解能な測定を行う技術が求められています。

NanoFCM によるLNPの解析事例

NanoFCMは 7-1000nmの粒子測定に特化した包括的なナノ粒子特性評価プラットフォームです。単一粒子レベルでの高分解能なサイズ分布、粒子濃度、100nm以下サイズ領域におけるフェノピングにより、薬剤カプセル化効率や核酸局在アッセイ等の定量分析を可能にし、核酸医薬の研究開発や製造領域、品質管理などの各種ワークフローに応用することができます。


リンク先では、NanoFCMを用いた核酸医薬解析におけるさまざまな測定事例をご紹介しております。

VIDEODROP によるLNPの濃度評価

VIDEODDROPは80-600nmの粒子測定を簡便かつ高速に行うことができる、ILM(光干渉顕微鏡)技術を採用したナノ粒子測定装置です。
One Drop & One Click での40秒解析と高い再現性を両立したVIDEODDROPはLNP開発から製造、保存までの様々な領域において活用することができます。

リンク先では新しい製剤の開発や製造工程の改善、異なる保存の検討を行うにあたっての粒子数定量化の重要性について、VIDEIODROPの測定結果とアッセイの比較データを掲載しています。

Exoid によるLNPの高分解能解析

Exoidは、最先端TRPS(Tunable Resistive Pulse Sensing)装置であり、約100nmから11 µmまでの直径の粒子径と濃度を高分解能に測定することができます。
特にこれまで広く用いられていた動的光散乱(DLS)やナノ粒子トラッキング分析(NTA)と比較して優れた分解能を持つことが示されており、さまざまな粒子測定アプリケーションに適しています。

リンク先ではLNPの測定を通して、核酸医薬領域における粒子解析の実例を紹介しています。

PageTop