新型 植物光合成総合解析システム (LI-6800)

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光合成測定の世界標準機が、さらなる技術的革新を実現

培養液光合成測定チャンバーで藻類サスペンションでの光合成測定

LI-6800AQ 培養藻類光合成測定システム クロロフィル蛍光測定ユニット付

LI-6800AQ 培養藻類光合成測定システム クロロフィル蛍光測定ユニット付 LI-COR

培養藻類光合成測定チャンバー(6800-18)は、水中の藻類サスペンションから安定した状態で炭素同化作用とクロロフィル蛍光を測定します。
LI-6800は陸上植物の炭素同化作用(A)とパルス振幅変調(PAM)クロロフィル蛍光測定に世界中の研究者や機関から選ばれています。
高性能な二酸化炭素と水素ガスアナライザーとシステム自動管理を備え、光生理学の最先端研究におけるさまざまな仮説の検証に用いられています。

従来の優良点はそのままで、新たな革新を実現した
『LI-6800』

世界基準装置「LI-6400」の後継モデル

世界基準装置「LI-6400」の後継モデルとして、「LI-6800」は2016年4月新発売しました。
「LI-6400」は、日本で350台以上納入実績があります。

LI-6800は世界基準装置「LI-6400」の後継モデル

従来のLI-6400XTから革新された主な機能

ガス分析

 チャンバー直結デザインを継承。全てのガス交換システムの要であるガスアナライザーが、チャンバー出口(サンプル)とチャンバー入口(リファレンス)のCO2とH2Oを精密に測定します。
 ガスアナライザーに空気が入った瞬間、高速で空気の温度測定をすることで、各測定の精度を改善します。
 通常のCO2ノイズは4秒のシグナル平均でis 0.1 μmol mol-1以下 (RMSノイズ 400 μmol mol-1時)です。

ガス拡散リークの少ない設計

 リーフレベルのガス交換測定はサンプルとリファレンス、2つのガスCO2濃度の違いによって計測されますが、ガス拡散リークがあると葉の結果とは異なる差異が発生することになります。

 特許取得のガスフロー=ガス分岐スプリッターとバルブを使い、ガス拡散リークは最小限となり、ガス交換測定がより高精度で再現性は高くなっています。

大きなリーフチャンバーの開口部

 リーフチャンバーの開口部が大きいことで、より大きな葉面積の光合成を測定することができます。

 サンプルとリファレンスガス濃度の大きな違いや、より高い信号対ノイズ比がわかり、精度の高いガス交換測定ができます。

高速ミキシングファン

 リーフチャンバーミキシングファンによって葉の境界層抵抗をより小さくします。

 葉表面とチャンバー内コンディションを合わせることにより、気孔コンダクタンスの計算、チャンバーコンディションによる高速な植物反応において、確実性が増します。

使いやすい設計

LI-6800は使いやすい設計になりました

新機能
①大きなタッチスクリーンディスプレイ
②フルカラーグラフィック・ディスプレイ
③スクリーン上のメッセージで測定と制御範囲に関する状況の把握が可能。
④装置がベストな状態で稼働できる全自動システム。
様々なニーズに対応したスペック
⑤1分未満で環境制御下での測定ができ、バッテリーは1日中持続。
⑥軽量、高パフォーマンスで、理想的なバランスを実現。
⑦消耗パーツの交換頻度軽減や、フィルターの外部取付など、
メンテナンスが軽減された設計。
様々な環境で使えるように設計された装置
⑧一般的な8gのCO2カートリッジとメートル法のハードウェアを採用。
⑨頑丈な可搬装置で、どこでもデータ収集をすることが可能。

新型光源により均一照射を実現

LI-6800 クロロフィル蛍光測定ユニットの光均一実測データ (3 × 3 cm LED光源も同様の仕様です)

LI-6800 クロロフィル蛍光測定ユニットの光均一実測データ

 均一照射の誤差は、開口部90%において±10%未満で、光合成がチャンバー開口部全体に渡って行われることを確実なものとします。
 LI-6800のクロロフィル蛍光測定ユニットの光均一実測データ疑似カラーマップ(上図左)はLI-6800蛍光計の光強度分布を示しています。
 マルチフェーズフラッシュ(Multiphase Flash™)クロロフィル蛍光測定ユニットの正中線における、光フィールドに渡る光強度の出力グラフ(上図右)により、照射は開口部全体において非常に均一であると言えます。

自在な完全自動制御
<葉温度、湿度、CO₂全域、光全域>

フローコントロール  0~2.5 L / 分

 流量は小型マスフローメーターで精密に測定され、最大2.5L/分(リーフチャンバー内は0~2L/分)でガス流量をコントロールします。
 これによりチャンバーを制御することが出来ます。特許のバルブシステムにより、ガス流量の高速制御が実現しました。

温度コントロール  葉温度で ± 10 ℃

 電子冷却により、設定に応じて葉温度・チャンバーエアー温度・ブロック温度での制御ができます。制御までのスピードは速く、安定後は測定が終わるまでその設定を維持します。

光コントロール  0 → 3,000 μmol m-2s-1

 「クロロフィル蛍光測定ユニット」や「3×3cm LED光源」、「大型RGB光源」で、自動的に光をコントロールします。
光源は十分な均一照射性能で、最大3,000 μmol m-2 s-1まで照射できます。(クロロフィル蛍光測定ユニットの場合)
 光の均一性能は、チャンバー開口部の90%以上の面積で、±10%未満の変動しか発生しません。
 したがって、測定葉面での光と光合成活性の評価を正確に行うことが出来ます。光源は、赤と青のLEDを搭載し、それぞれ独立制御することも可能です。また、LEDのため低電力であり、葉温変動に与える影響はわずかです。

CO2コントロール  0 → 2,000 ppmの全域

 LI-6800は、スクラブ薬品でCO2を除去し、液化CO2ボンベから気化CO2を追加することで、濃度を自動的にコントロールします。
0-2,000 μmol mol-1のレンジで、自在にCO2濃度制御が行えます。 8gの液化CO2カートリッジ1本で最大8時間まで継続的にコンディションを維持できます。
 付属パーツの使用で、外付けの液化CO2ボンベを接続することもできます。

H2Oコントロール

 導入ガスを除湿薬剤と加湿セラミックに通過させ、相対湿度0~90%で自動制御ができます。
制御までのスピードは速く、mmol/molでの設定や相対湿度、VPDLでの制御ができます。
 これにより、完全安定環境での測定ができ、特に気孔コンダクタンスの研究に有効です。

高速、高安定でのガス流路制御を可能にした
システム通気設計

本体コンソール部

LI-6800は3つの自動制御薬剤チューブとCO2ボンベにより、ガス環境を定常または自在制御します。

LI-6800 本部コンソール部

主な設計特長
●自動バルブ制御の3つのカラムチューブを搭載しています。
●加湿用セラミック粒子チューブ(Pall Stuttgarter Masse)により、加湿ガスを送ることができます。
●ソーダライムチューブは、ポンプの引込(負圧)側に設置、その他はすべてポンプの押出(陽圧)側に設置され、リークを防ぎます。
●補助ガス導入口があり、CO2とH2O以外の制御されたガスを導入することができます。
●3方電磁弁と3方ステッピングバルブにより、手動制御の必要はありません。

測定チャンバーヘッド部

LI-6800は測定チャンバー内での分岐流路となっており、より高速・高安定でのガス流路制御が可能となりました。

LI-6800 チャンバーヘッド部

主な設計特長
●センサーヘッドにおいて、フローが分岐します。 (通気ガスがリファレンスとサンプルに分かれます。)
●チャンバー加圧バルブ搭載 ●サブサンプリング ポート装備 ●分析計排気経路に通気確認、流量計実装

同一面積でのガス交換とクロロフィル蛍光同時測定

 6800-01F マルチフェーズフラッシュ(Multiphase Flash™)クロロフィル蛍光測定ユニットは、6cm2の葉面にて、PAM(パルス変調)蛍光方式でのクロロフィル蛍光測定とガス交換測定が全面均一光環境下で同時計測ができます。さらに、変調と非変調のクロロフィル蛍光シグナル照射も行えます。

 測定エリア全体で連続蛍光誘導され、暗処理もしくは明環境下での蛍光パラメータ「Fo、Fm、F、Fm’、Fo’」を計測し、それらから「Fv、Fv/Fm、Fv’/Fm’、ΦPSII、qP、qN、NPQ、ETR」が算出されます。

 正確に「Fm’」を推定するために、飽和照射光の照射を行うことができ、1秒未満の飽和照射光1回の照射で、正確な最大蛍光収率『Fm’』を算出することができる新しい手法です。(Loriaux et al.,2013)
 飽和照射光は、最大16,000mol/m2/sまで、照射設定が可能です。

同一面積でのガス交換とクロロフィル蛍光同時測定

(上図左)矩形飽和パルス光は、照射強度と照射時間をグラフィックインターフェースにて設定可能。
(上図右)マルチフェーズフラッシュ(Multiphase Flash™)の各フェーズの照射強度と時間、光減衰を視覚的に確認可能。

クロロフィル蛍光測定値の比較

LI-6800 クロロフィル蛍光測定値の比較

 マルチフェーズフラッシュ(Multiphase Flash™)は、1秒未満の飽和光1回の照射で、正確な最大蛍光収率『Fm’』を算出することができる新しい手法です。

 温室内で育ったタバコ葉への飽和パルス照射で、マルチフェーズフラッシュ『EFm’』と矩形フラッシュ『AFm’』を計測すると、矩形フラッシュはマルチフェーズフラッシュにより計算された真の『Fm’』より低い値を示す傾向にあります。

暗処理した葉でのETR計測グラフ

LI-6800 暗処理した葉でのETR計測グラフ

 2台の装置での計測において、マルチフェーズフラッシュ(Multiphase Flash™)で測定されたETRは、ガス交換での光合成速度と一致しています。

マルチフェーズフラッシュクロロフィル蛍光測定
ユニット (6800-01F)についてはこちら

基礎から応用まで様々なニーズに対応

多用途でプログラム可能

 LI-6800は、簡易な環境制御設定とその後の素早い安定制御機能により、どなたでも正確な光合成測定を行えるポテンシャルを持っています。また、研究目的を満たすために装置をカスタマイズする必要が出てきた場合でも、応用的にご使用いただけます。

 反応曲線といった、標準的な自動測定プログラムは初期の段階で含まれており、顧客のご要望に応じた、実験用に簡単に修正することができます。 また、Pyton プログラミング言語をつかうことで、カスタムの自動測定プログラムを作成することもでき、装置をアプリケーションに応じ、フレキシブルにアップデートすることが可能です。

計算式が組み込まれたエクセルファイル

 データ処理を簡素化するために、LI-6800のデータファイルは関数計算式が組み込まれたフォーマットで保存することができます。(LI-6400XTと同様)よって、葉面積や境界層コンダクタンスといった変数を変更し、再計算することが容易で、データの再処理はただちに可能です。また、USBメモリーに転送が可能です。

ネットワーク機能

 最新のネットワーク機能により、LI-6800はローカルネットワークやインターネットに直接接続することができます。この機能により、研究室、温室もしくは教室にいても、遠隔地からLI-6800を監視・制御することができます。また、メイワフォーシスの専門技術スタッフによる遠隔から装置の状況検査も可能となります。

 フリーの通信ソフト「WinSCP」にて、PCへのデータ転送は簡単に行うことができ、付属のソフトウェア(Mac用/今後Windows用も公開予定)を使用することで、PC画面で装置の制御ができます。実習や公開講座などで、画面を大型モニターやプロジェクターに移し、大人数で同時に光合成の状態や装置の状況を確認することも可能となりました。

LI-6800 植物光合成総合解析システム

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