アプリケーション
LNP
LNP製造、最適化、品質管理のための新しい指標
mRNA-LNPの特性評価には、粒子サイズやその分散状態、ゼータ電位などが物理化学的パラメータとして重要視されていますが、VIDEODROPを用いた単一粒子測定技術を使用して粒子濃度をモニターすることにより煩雑なアッセイ工程を行う前にに品質管理や安定性評価、比較研究の標準化に役立つデータを集積し、新しい製剤や製造工程、保存条件の開発において粒子数を効率的に比較することができます。
そこでVIDEODROPを用いて異なる条件下でmRNA-LNPの粒子数を比較し、トランスフェクション活性に対するプロセスまたは脂質膜組成が及ぼす影響について焦点を当てた測定結果をご紹介いたします。
LNPの粒子濃度の重要性
溶液調整
RNA/脂質
脂質組成と
粒子濃度
LNP処方
マイクロ流体
プロセス条件
と粒子濃度
バッファー
交換と濃縮
プロセス工程
と粒子濃度
充填と
仕上げ
保管条件と
粒子濃度
粒子濃度はトランスフェクション活性に影響するのか(青:粒子数、オレンジ:活性)
①溶液調整 RNA/脂質
脂質組成の最適化
脂質組成の異なる2種類のLNPを同じプロセスで製造しました。粒子濃度は、脂質組成1は脂質組成2に比べて高い活性を示しました。
②LNP処方
混合速度の最適化
マイクロ流体デバイス上での混合速度(流速)を変えて調製した、同じ組成のLNPを比較しています。
混合速度のステップは、生成粒子の濃度に大きな影響を与えます。
この場合、活性は粒子の数に直接関係します。
③バッファー交換と濃縮
バッファー交換の最適化
バッファー交換と濃縮ステップは非常に重要であり、収率を向上させるためには最適化が必要です。
左図の場合、バッファー交換のステップで粒子数が75%減少しています。
④充填と仕上げ
保管の最適化
製品の品質を確保するためには、保管条件を最適化することが不可欠です。
左図では、+4°C または -20°C で保管された同じ製品をテストしました。
その結果、-20℃での保存は、活性の低下とともに粒子数の減少につながることが明らかになりました。
VIDEODROPはLNPの品質評価に最適です
VIDEO DROPは、わずか1滴(最小5µL)、最短40秒でLNPの粒子濃度と粒度分布を測定できるため、LNP開発から製造、保存までの様々な領域において活用することができます。
また、比較研究において、ナノ粒子の数を用いて細胞ベースのアッセイ(トランスフェクション活性)を標準化することで、異なる条件下で製造されたLNPの評価が向上します。
細胞外小胞(EV)
VIDEODROP
EVのサイズ・濃度を40秒で測定
qEVエクソソーム抽出キット
患者血漿(plasma)からEVを抽出
ヒト末梢血からの細胞外小胞の分離
qEVで抽出されたサンプルからの細胞外小胞測定
血漿、尿由来EVの濃度とサイズ測定
EVの保存条件による安定性評価
細胞外小胞の安定性と保存条件(保存温度と保存期間)は、生物学者にとって常に課題となります。生物学的サンプルから得られた細胞外小胞は長期間保存する必要があり、研究者は保存後にサンプルの比較可能性を確認しなければなりません。
この安定性試験では、+4℃で3週間、-80℃で2 週間保存後の、細胞外小胞の減少は 20%以下であった。しかし,-20℃で保存すると、細胞外小胞はVIDEODROP で測定できなくなります。 このデータに基づき、細胞外小胞は-80℃で凍結した後、優先的にVIDEODROP で定量すべきであることがわかります。
血清由来のsEVサンプルを測定し、サイズ分布からsEVと想定される
粒子の粒度分布と濃度の違いを定量
サンプル:超遠心(200000g,4℃,60min)で抽出した血清由来sEV5種
画像からもサンプルによる粗大粒子や凝集体の有無の違いが確認できます。
<結論>
① 検体数が多い場合も粒度分布や濃度の違いが短時間で測定可能です。
② 画像で粒子の状態を目視確認でき 直感的な操作性を有します。
③ サイズ分布からsEVと想定される粒子の粒度分布と濃度の違いの定量が行えます。
北海道大学 遺伝子病制御研究所 教授 村上 正晃 先生、講師 久保田 晋平 先生に、本資料掲載へのご協力をいただきました。
ICH-Q2ガイドラインに基づくウイルスベクター濃度分析方法の検証
再現性抜群! ウイルスベクター製造の各工程で簡単・短時間測定
レンチウイルスベクター(LV) の臨床応用には、製造精製や品質管理を含む大規模な医薬品適正製造基準(GMP) が必要です。そして、ウイルスベクター製造における分析方法は医薬品規制調和国際会議の分析法バリデーションに関するガイドライン(ICH-Q2) に従って行われなければなりません。
VIDEODROPはレンチウイルスベクターの製造における上流から下流までの各工程において、これまで評価の困難であった濃度の領域におけるGMP環境への適応が可能です。
■ICH-Q2要求パラメータと測定サンプルの概要
■結果: 直線性(Linearity)
VIDEODROPの測定結果は生成されたレンチウイルスベクター製品や、未精製の培養物においても高い直線性(R2=0.9971, 0.9862)を示しています。
測定精度や正確性、p24ELISA法との比較データはアプリケーションノートにて公開しています。
VIDEODROPがレンチウイルスベクターの品質管理方法としてGMP環境にどのように適しているか是非ご覧ください。
レンチウイルスベクターの物理的力価の計測
Aratinga.bio社(仏)は前臨床段階のバイオテクノロジー企業であり、CAR-T細胞療法向けに、レンチウイルスベクターを利用した製品開発を行っています。
ここではレンチウイルスベクターの物理的な力価をVIDEO DROP、qNano、ELISAで計測し比較した事例を示しています。
P24 ELISAとは強い相関を示し、qNanoとも相関が見られることから、これまで煩雑な工程が必要であったウイルスベクターの製品開発における上流から下流までの工程を、VideoDropにより簡素化することができます。
3種類の手法を用いて、レンチウイルスベクターの物理的力価を評価しました。
詳細内容はアプリケーションノートを下記よりダウンロードしてください。
『ILM』干渉光顕微鏡を用いた
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の迅速な特性評価
『ILM』(Interferometic Light Microscopy)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の特性評価で優れた性能を発揮します。詳細内容はテクニカルポスターを下記よりダウンロードください。
海洋ウイルスの測定
材料と方法
ウイルスは自己複製機能を持った生物学的存在であり、100nm前後のナノ粒子です。
COVID-19やインフルエンザのように人類や動物に対して悪影響を与える病原体だけでなく、動物や植物などの生存を助けるものや、地球環境を維持する海洋ウイルスなどが存在します。
ウイルスの分析と特性評価をする手法は様々ありますが、生物顕微鏡ではウイルスの観察を行い直接顕微鏡計数法を行うため煩雑で時間を要します。
淡水培養ウイルス
淡水培養ウイルスをVIDEODROPの測定可能濃度※に調整し測定をしました。
濃度の希釈には、海水を0.22μmフィルターに通し、粒子を排除したものを用いました。
赤潮ウイルス
赤潮ウイルスも淡水培養ウイルス同様に希釈をして測定をしました。
粒度分布が約100nmから最大1μm付近までの粒子が一定量存在したため、100nm付近の粒子をより正確に把握すべく、赤潮ウイルスを0.45μmフィルターに通した測定比較も行いました。希釈は2倍希釈から段階希釈を行い評価しました。
※VIDEODROPの最適測定濃度:
最適値;約3.0E+8~7.0E+9個/mL
検出限界;約1.0E+8~2.0E+8個/mL
結果
淡水培養ウイルスの原液濃度が6.1E+9個/mL、対して赤潮ウイルスの原液濃度が6.02E+10個/mL、0.45μmフィルターありの赤潮ウイルスの原液濃度は1.18E+11個/mLでした。特に赤潮ウイルスは0.45μmフィルターに通し粗大粒子を除去することで100nm付近の粒子をよりカウントでき、濃度が上がっています。
粒度分布は、淡水培養ウイルスはメジアン径が177nm、赤潮ウイルスは254nm、0.45μmフィルターありの赤潮ウイルスは222nmであり、ウイルスの種類により粒径は数十nm異なることが確認できました。
リポソーム美容液中のリポソーム量を測定
ILM を利用したVIDEO DROPは、リポソーム美容液中に含まれる0.1ミクロンオーダーのリポソームを40秒で測定します。
ポリスチレン粒子の測定(繰り返し測定再現性データ )
3回の繰り返し測定をしたデータです。濃度、粒径ともに再現性良くデータ取得が行えます。
飲料の測定
乳飲料
飲料・食品の評価事例です。乳飲料には主成分の脂肪球やカゼインミセルやラクトース等が含まれており、成分の粒度分布と濃度を未精製で簡単に測定することが可能です。
緑茶飲料
VIDEODROPナノ粒子イメージングアナライザーを使用して緑茶飲料の測定を行いました。
「お茶」は400 nm以上の粒子が「濃いお茶」に比べて多く、また粒径もブロードな傾向があります。
VIDEODROP は、
● 粗大粒子が存在しているサンプルにおいてもそのまま測定が可能です。
● 測定の再現性が高く複数回の測定を容易に行うことができます。
● 最短40秒で測定できるため、製品管理・開発工程の時間的コストの削減が可能です。