移動式試験設備によるメタン排出のモニタリング
LI-CORはこのほど、イギリス国立物理学研究所(NPL)およびロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校(RHUL)と共同で、一連の移動式漏出ガス定量化実験を通じてLI-7810 CH₄/CO₂/H₂Oトレースガスアナライザーを評価しました。同装置で収集された濃度データは、2日間にわたって制御された、14件の放出の定量化に使用されました。NPLとRHULの研究は、メタン排出削減に取り組む産業界が使用する移動式メソッドの検証を目指しています。
温室効果ガスの排出削減は、世界の気温上昇を抑制し、パリ協定の長期目標を達成するための重要なステップです。20年間の地球温暖化係数が二酸化炭素の80倍以上であることから、特にメタン排出は世界中の科学者の主要な焦点となっています。このような排出源を定量化できる新しい技術は、その結果、より充実した試験施設に対する需要を生み出しています。最近、NPLの研究者は、科学者が定量化技術を検証できる移動施設を建設しました。
NPLの放出制御試験施設 は、放出検知方法の有効性を判断するのに役立ちます。この試験施設では、発生源のタイプ、高さ、漏出回数に変化を持たせた様々なメタン漏出シナリオを、関連産業で通常発生する漏出率でシミュレーションします。
NPLの排出・大気計測グループの上級研究員であるJonathan Helmore氏は、この施設の重要性を確信しています。「排出を監視する効果的な法律を制定し、あらゆる政策介入の成功を測定する方法は、正確な排出監視技術を産業界に提供することです」とHelmore氏は述べています。「放出制御試験施設は、このような目的を実現するための基盤となる能力を提供し、排出ガス削減による生活の質の向上と、革新的なビジネスの成長を支援します」
この研究の目的は、RHULが開発した移動式メタン漏洩定量化システムを検証することでした。このシステムは、ガスアナライザーと高精度GPSで構成され、標準的なSUV車に搭載されました。放出制御試験施設はイギリスBedfordのThurleighに配備され、14回のブラインド実験のために、既知で追跡可能な増分でメタンを放出しました。LI-COR LI-7810 CH₄/CO₂/H₂Oトレースガスアナライザーと追加装置を装備した車両は、発生したプルームの中を走行し、メタン濃度の上昇を記録しました。RHULの准教授であるDave Lowry氏は次のように述べています。「LI-CORの装置は、他の試験装置と比較しても非常に優れた性能を発揮しました」「特に印象的だったのは、セルサイズが小さく、ガス交換が速いため、プルームの中心を特定するのが非常に簡単でした」
車両のデータは、各放出物の排出リーク率を計算するために使用され、実際の率と比較されました。そのため、研究者たちは、メタン排出量のマッピングに移動式手法を使用することの有効性と、施設の価値をよりよく理解することができました。
NPLとRHULは、放出制御試験施設の能力を調べることで、温室効果ガス排出量を定量化するためのモバイル手法を開発し、世界的な温室効果ガス削減に向けて取り組む一助となることができます。彼らは今後、研究成果を出版・発表する予定です。
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NPLについて
ロンドン南西部のテディントンを拠点とするNPLには、600人以上の科学者が所属しています。また、サリー大学、ストラクスライド大学、ケンブリッジ大学とハダースフィールド大学3Mバックレーイ・ノベーションセンターなど、イギリス各地に拠点を置いています。
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