沿岸林への洪水の影響を研究する研究者たち

海面上昇と暴風雨の増加により、いつもは洪水を経験することのない沿岸部の森林が洪水に見舞われています。Pacific Northwest National Laboratory（PNNL）の研究科学者であるBenjamin Bond-Lamberty 氏と Stephanie Pennington氏は、COMPASS-FME* TEMPEST実験チームの一員として、陸域と水域の境界面（TAI）に対する洪水の影響をよりよく理解し、予測するための研究を行っています。

スミソニアンのPat Megonigal氏とPNNLのAnya Hopple氏が主導するTEMPEST実験は、チェサピーク湾近くのスミソニアン研究林で行われました。COMPASS-FMEの5つのプロジェクトのうちの1つで、沿岸林に対する海水と淡水の両方の洪水の影響を測定するものです。研究者たちは3つのプロットからデータを収集します。2つは洪水用で、もう1つは比較対照用です。大型タンクとポンプで構成されるシステムにより、1つは海水、もう1つは淡水が浸水します。

TEMPESTチームは、2021年夏/秋のサイトインフラテストの一環として、LI-7810 CH₄/CO₂/H₂OおよびLI-7820 N₂O/H₂Oトレースガスアナライザーと4台の8200-104長期チャンバーを接続したLI-8250マルチプレクサーを配備し、テストを実施しました。60日間にわたり、彼らはこのシステムを使って、メタン、二酸化炭素、水、亜酸化窒素の土壌フラックスを試験浸水の前後でモニターし、LI-7810トレースガスアナライザーと8200-01Sスマートチャンバーも調査測定に使用しました。

チームは、追加のサポートなしでシステムを設置し、展開することができました。Pennington氏は「複数のアナライザーを接続し、マルチプレクサーがそれらを認識できるのは非常に便利でした。」と述べています。「これは間違いなく使いやすさでの大きな前進です」とBond-Lamberty氏は付け加えました。両氏は、現場配備のための堅牢な設計や、アクセスしやすいポートキャップや向きなどの機能も高く評価しています。

TEMPESTチームは、水、土壌、植物の3つの生態系領域からデータを収集しています。現場には、トレースガスアナライザー、プローブ、間隙水、デンドロメーター、LAI-2200C植物キャノピーアナライザーなどのセンサーが設置されています。彼らは、SoilFluxPro™ソフトウェアを使用して、迅速なビジュアルを作成し、LI-8250マルチプレクサーから.csvファイルにデータをエクスポートして、一連のR統計言語スクリプトで使用しました。

今回の試験浸水は、3年間のパイロット・プロジェクトの中間点にあたります。パイロット終了後、チームはこのプロジェクトが7〜10年間継続することを期待しています。プロジェクトで得たデータは、高解像度の地球システムモデルに拡張可能なTAI予測モデルの構築に役立てられます。COMPASSのビジョンは、沿岸システムの理解を深め、短期および長期の変化に対する沿岸システムの応答を予測することです。

*COMPASS-FME (Coastal Observations, Mechanisms, and Predictions Across Systems and Scales–Field, Measurements, and Experiments）は、米国エネルギー省科学局の地球・環境システム科学部門から資金提供を受けています。詳しくはこちら