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超微細かつ複雑な形態
リグノセルロースナノファイバー
回り込みよく内部まで均一にオスミウムコートされ、チャージアップなくクリアに高分解能SEM画像が得られています。また、膜厚の自動調整機能により、再現性良くコートされております。
【資料御提供】
国立研究開発法人産業技術総合研究所 中国センター 材料・化学領域 機能化学研究部門 セルロース材料グループ 遠藤 貴士 様、榊 原圭太 様、齋藤 靖子 様
(図左)
a リグノセルロースマイクロファイバー
bリグノセルロースナノファイバー、c, d キナクリドン
(図右)
キナクリドンとリグノセルロースMFの混合物 a 2:1 (w/w), b 1:9 (w/w)、
キナクリドンとリグノセルロースNFの混合物 c 2:1 (w/w), d 1:1 (w/w), e 1:4 (w/w), f1:9 (w/w) 矢印はキナクリドン粒子を示しています。
出典:Saito, Y., Sakakibara, K., Tanaka, Y. et al. Influence of hemicellulose and lignin on intermolecular interaction between quinacridone and lignocellulosic fibers revealed by gel-state NMR and color measurements. J Wood Sci 69, 20 (2023). https://doi.org/10.1186/s10086-023-02094-1
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ヘミセルロースおよびリグニンがキナクリドンとリグノ セルロース繊維の分子間相互作用に及ぼす影響
- 超微細かつ複雑なサンプルでも回り込みよく高分解能SEM画像で観察可能。
- 資料ではリグノセルロース繊維がキナクリドンの凝集抑制に関与していることが示されています。
本ホワイトペーパーでは、論文中に記載されているSEM観察法とその観察結果ついて抜粋しご紹介いたします。
是非ご覧ください。
オスミウムとスパッタのコーティング比較
ナノ粒子を高倍率観察で判別
●シリカナノ粒子
従来、金スパッタではコートした金粒子が観察されシリカナノ粒子と判別する事が困難でした。オスミウムコートでは回り込みが良いため、チャージアップする事がなく、15万倍の高倍率でも粒状性がない、きれいなSEM観察をすることができました。
【資料御提供】
名古屋大学 大学院 工学研究科 先端物理化学講座 川口 大輔 様
粒状性のない極薄膜で最良のSEM観察
●HB管(SiO2 Al2O3)の観察
【資料御提供】
名古屋大学 全学技術センター 高井 章治 様
複雑な先端部までクリアに観察
●シーモンキー
アルテミア幼生(シーモンキー)を凍結乾燥させ、スパッタとNeocでコーティングを行い、観察しました。Neocでオスミウムコートした写真は立体的な迫力ある画像であることがわかります。 スパッタコートでは触角先端部がチャージアップしてしまい、観察ができなくなっていますが、Neocによるオスミウムコートでは複雑な触角先端部までチャージアップなく、クリアに観察ができます。
【資料御提供】
北里大学 医療衛生学部 上野 正樹 様
Auスパッタでは不可能だった本来の姿を観察
●ラット心臓血管鋳型の画像比較
スパッタコータで金蒸着する際に、チャージアップを軽減させるために充分なコーティング時間は約3分。そのため、熱による影響を受け、縮れてしまい、かつ厚い膜のために表面が盛り上がってしまいます。対して、Neocでは20秒という短時間で、チャージアップのない非常に薄い膜が生成され、本来の姿を観察することができます。比較してみると一目瞭然、6000倍に拡大すると全く別物のような表面形状が見てとれます。
【資料御提供】
岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 人体構成学教室 様
Neocなら重なる試料もチャージアップなく観察
●ポリスチレン粒子の比較①
800nm前後のポリスチレン粒子を観察。ノンコートでは鮮明な像が得られませんが、Osコートをたったの5nm成膜するだけで、ナノ粒子をクリアに観察が可能です。
●ポリスチレン粒子の比較②
重なり合う試料もNeocなら回り込みよくコーティングすることができるため、チャージアップせず全体像を観察することができ、コントラストも良好です。
しかし白金コーティングでは、回り込みが悪いため、重なる部分を中心にチャージアップが発生しています。さらに倍率を上げると、白金コーティングではチャージアップが発生しているため2000倍以上の拡大ができないのに対し、オスミウムコーティングでは、5000倍でも生成時に発生したへこみや、細かい形状も観察できます。
【資料御提供】
豊橋技術科学大学 材料エレクトロニクス分野 武藤 浩行 様
CNT補強と高倍観察を実現
●カーボンナノチューブの比較
形状が不安定なカーボンナノチューブも、高倍率での構造観察が可能になります。 無蒸着でもSEM観察が可能なCNTをオスミウムコーティングすることで、形状が不安定なCNTを補強する効果も得られ、高分解能な観察が可能になりました。 また、CNTを無蒸着でSEM観察すると、観察中にCNTが拡散しSEM検出器のコンタミの原因になりますが、電子線に強いOsでコーティングすることで拡散を防ぎ、SEM内部のコンタミを防止する効果も得られます。 帯電防止膜としてだけではなくSEM検出器のコンタミ防止と複数の効果を得ることができます。
【資料御提供】
名城大学理工学部 材料機能工学科 安藤研究室(所属は当時) 鈴木 智子 様
マトリックス構造を破壊せずに観察
●アミノ酸の凍結乾燥ケーキを固形状態のまま600倍で観察
従来の白金によるスパッタコートでは、凍結乾燥ケーキの網目構造がクリアに観察できないだけでなく、陰の部分や奥行が分かりにくく、スパッター粒子の重みでマトリックス構造が潰れたり、断片化する等の問題点がありました。
一方、極薄膜で回り込み性が良いオスミウムコートでは、これまでのスパッターコートにおける上記問題点を改善し、サンプルの舞い上がりやすくダメージも受けやすい複雑な凍結乾燥ケーキのマトリックス構造体においてもマトリックス構造が破壊されることなく、試料本来の構造をきれいに観察することが可能になりました。
【資料御提供】
東京理科大学 薬学部 製剤学教室 教授 山下親正 様
高倍率観察でも粒状性なし
●ポリマーフィルム
10万倍観察像では、オスミウムコーティングと白金コーティング表面に大きな差がみられます。白金粒子が堆積しており、本来の表面構造が確認できません。
オスミウムコーティングは高倍率観察においても粒状性なく、リアルな表面構造が得られます。また、低印加電圧で有機系試料においても熱ダメージはありません。
【資料御提供】
台湾工業技術研究院(ITRI)
低倍率観察でも違いは一目瞭然
●アセテート
金スパッタコートでは、回り込みが悪くチャージアップしており、表面の質感も金属のようになっています。オスミウムコートでは表面の質感を損なわず良好な観察ができ、低倍率観察でも両者で表層膜の状態の違いは一目瞭然です。
3種類のコーティング比較
●SiCホイール
ナノレベルの観察を実現
ナノファイバーの奥深くまで観察
●セルロースナノ繊維
従来のスパッタでは回り込みが悪く、ナノ繊維の画像を上手く撮ることはできなかった。オスミウムは回り込みが非常に良く、ナノ繊維の奥までしっかりコーティングされており、ナノレベルの細い繊維が切れずに観察が出来ました。
【資料御提供】
独立行政法人 産業技術総合研究所 バイオマス研究センター 李 承桓 様
●ショウジョウバエ
10万倍の観察でも、サンプルにダメージはありません。熱に弱い資料や、微細な構造の試料でも、粒状感なく観察でき、電子線によるダメージも皆無です。
【資料御提供】
東北大学 多元物質研究所 柴田 吉郎 様
●石炭灰
セメント内部に含まれている石炭灰ですが、このように非常に凹凸の激しい試料もNeocなら観察可能。15万倍でもチャージアップなしです。
●0.22μmミリポアフィルター
低真空観察においてもチャージアップのない立体感のある像が取得できます。
低真空観察時、無蒸着の方は2000倍観察で形状が観察不可能ですが、Osコーティングをすると5000倍でもフィルターの形状が観察できます。 低真空観察では取得の難しいフィルターも、Osコートを行い高真空モードに切り替えることで鮮明に構造を観察することができます。
微細粒子をキャッチするために複雑に入り組んだ構造がわかります。
●ポリウレタンナノポア
ポリウレタンナノポア像の観察。
表面の状態や、直径数μmの細孔の状態も立体的に確認ができます。
複雑な試料も回り込みよくコーティング
●セファロース
セファロースとは、ポリマービーズの一種で生物試料、主にタンパクや微生物などの吸着に使用され、表面は細かな多孔質です。Neocでのコーティングは多孔質の深部までしっかり回り込んでいるため、低倍観察をさらにクリアな画像に、高倍率でも粒状性なく複雑な構造がはっきりと観察できます。
●化石
多孔質試料でもはっきり観察できます。
【資料御提供】
東北大学 多元物質研究所 柴田 吉郎 様
●星の砂
星の砂は主に石灰質で出来ているため、表面は多孔質になっています。
スパッタ処理では高倍率観察時の表面の凹凸が埋まってしまうため、微細な構造観察は不可能です。10,000倍の写真は950倍画像の表面の穴のさらに奥を観察したものです。
【資料御提供】
日本電子株式会社 様
●クサカゲロウの羽
クサカゲロウの羽を低加速SEMで観察した画像です。無蒸着の画像では電子線の影響を受け、構造が損なわれてしまいます。そのため、サンプル本来の針状の構造を観察することができませんでした。それに対してOsコートで処理したサンプルは、電子線ダメージの影響が極めて少ない強固な導電被膜が形成されます。サンプル本来の構造が損なわれず、鮮明な針状の構造を観察することができます。また、オスミウムによるコートは熱による影響をほとんど受けないため、熱に弱い樹脂材料のコートや生体試料のコートに最適です。
【資料御提供】
青山学院大学 理工学部 高嶋 明人 様 高橋 玲央奈 様
●アリ
Osコーティングをしたアリを観察すると、体表面の構造や輪郭、触角の毛の質感まで微細に観察ができます。
●つつじの花粉
ノンコートと比較すると、オスミウムコート画像は輪郭がとらえやすくぼやけることなく表面凹凸構造も鮮明に確認できます。
低真空SEMにおいてもオスミウムコーティングは有効な手段です。
また、熱ダメージもないためツツジの花粉の特徴である粘着糸を、繊維構造を破壊することなく観察可能です。
●つつじの葉の気孔
ツツジの葉裏面を観察すると、無蒸着では800倍でチャージアップしているのに対し、Osコートをした方は1300倍に上げても葉の気孔がクリアに観察可能です。
●つつじの葉の毛状突起
ツツジの葉を観察すると、無蒸着では低倍率でも像がぼやけているのに対し、Osコートをした方は毛状突起の形態まで良好な観察が可能です。
●ローズマリーの葉
Osコーティングをしたローズマリーの葉を観察すると、葉の表面構造や内側の綿毛状組織の奥行がよりクリアに確認できます。
●身近な繊維材料
繊維質材料の低倍率観察を行いました。
パルプ繊維製のキムワイプ、キムタオル、マルチコピー用紙と、化学繊維製のBEMCOTクリーンワイプ、M-1、ウェットティッシュでは素材の違いにより、繊維の微細構造が異なることがわかります。
素材が同じもの同士でも、キムワイプ キムタオル間で織り方の立体度合いが異なり、クリーンワイプ M 1 間では繊維の絡まり方が異なります。
ウェットティッシュは含水させるために溝を有する繊維が一部に織り込まれていることや、コピー用紙は填料のカルシウム、ケイ素粉がそれぞれ観察できます。
卓上SEM のオートフォーカスのみで観察、5,000倍の観察も容易に可能です。
熱ダメージに弱い試料も損傷はありません
●メンブレンフィルター
熱によって切れやすいメンブレンフィルターも、Neocなら解決できます。
●狼の体毛
熱による試料の損傷はありません。枝毛状のささくれ立った毛は熱に弱く、スパッタ―では縮れてしまいます。
●インプラント体チタン表面のSEM観察
歯科臨床で用いられているインプラント体のほとんどがチタン製です。そのインプラント体のチタン表面は、機械研磨面にサンドブラスト、酸エッチング、ハイドロキシアパタイトコーティングなどのさまざまな処理が施されています。このような表面処理をすることで、インプラント体と周囲骨との接触面積が増加し、さらに細胞レベルでは、チタン表面の微細構造や化学組成などが変化することで、骨形成に関与する細胞の接着や増殖が促されることが報告されています。日本歯科大学によるこの分野の研究において、チタンの表面処理後のSEM観察の前処理として、Neocが使用されています。
以下はH2O2水熱酸化処理とFGF-2により機能化されたチタン表面の細胞播種24時間後のSEM像です。細胞がはやした仮足もちぎれることなく、細胞接着の様子が確認できます。
【資料御提供】
日本歯科大学生命歯学部 教授 松野智宣 様
●ポリマービーズ
同条件下での観察では、白金コーティングでの試料はビーズ表面に大きな電子線損傷が生じております。
一方のオスミウムコーティングは薄膜であってもダメージ、チャージアップの無い、クリアな像が得られております。
【資料御提供】
台湾工業技術研究院(ITRI)
各種分析への応用事例
連続切片SEM法での極薄純粋オスミウム成膜
(シロイヌナズナの花粉成熟過程におけるマイクロリポファジーの解析)
【資料御提供】
日本女子大学 理学部 物質生物科学科
教授 永田 典子 様
助教 秋田 佳恵 様
【使用画像】 (以下リンク先 figure 4, 5 )
https://link.springer.com/article/10.1007/s00709-020-01557-2
【原著論文】 Kae Akita, Tomoko Takagi, Keiko Kobayashi, Kazuyuki Kuchitsu, Tsuneyoshi Kuroiwa & Noriko Nagata (2020) Ultrastructural characterization of microlipophagy induced by the interaction of vacuoles and lipid bodies around generative and sperm cells in Arabidopsis pollen. Protoplasma
連続切片SEM法(アレイトモグラフィ法)は、連続超薄切片をSEMで観察することで、3D再構築を容易に達成することができる技術です。本データでは、固定処理を行った樹脂包埋サンプルをウルトラミクロトームで薄片化した後、オスミウムコートを施し、電界放出形走査電子顕微鏡で観察後、画像処理技術により3D再構築を行いました。 これにより微細なオルガネラ相互作用の解析が可能となり、シロイヌナズナの花粉成熟にマイクロリポファジーが関与していることが明らかになりました。
Neoc-Pro ネオオスミウムコータは導電性の高い1 nm未満の純粋オスミウム膜を再現よく成膜することができるため、組織変化や表面の凹凸構造を得るための反射電子像観察に適しています。またオスミウム膜は粒状性がなく材料本来の構造観察を可能にすることから、連続切片SEM法の前処理においても最適な導電被膜処理を行えます。
画像① 連続切片SEM法による液胞とリピッドボディの相互作用の超微細構造解析
a-d 二細胞期花粉(a, c)と三細胞期花粉(b, d)のSEM像
e-t 二細胞期花粉(e-l)と三細胞期花粉(m-t)の連続切片SEM像
gc:雄原細胞、gn:雄原細胞核、lb:リピッドボディ、sc:精細胞、sn:精細胞核、 vac:液胞、vc:栄養細胞、vn:栄養細胞核
画像② マイクロリポファジーの3D再構築像
aは画像①e-lから再構築した二細胞期花粉、bは画像①m-tから再構築した三細胞期花粉におけるマイクロリポファジーの3D画像。マゼンタ:リピッドボディ、緑:液胞
0.25nm導電被膜で厳密なEBSD極表面解析に有効
●チタン酸ジルコン酸鉛多結晶体
純粋なオスミウムは導電性に優れ、二次電子放出効率も良好なため、チャージアップがありません。 従来、絶縁体試料は電子線放射による帯電により、広範囲を高分解能測定することは困難で、結晶粒内の分域構造などの詳細な結晶体の分析はできませんでしたが、分析結果を整合し、オスミウム被膜が0.25nmと超薄膜でも完全に電子線から試料を保護し、十分な導電膜での反射データを得られる事が分かりました。
【関連文献】
日本機械学会論文集 別冊74巻 739号A編
大阪工業大学 機械工学科 准教授 上辻靖智 様
AFMカンチレバーの耐久性アップ
SPM・AFMのカンチレバー先端には計算上、非常に高い電界がかかります。
そのため金コート等のカンチレバーの場合は、数回の測定でレバー先端に大きなダメージを受け、使用不可能となります。Neocでオスミウムコートしたカンチレバーは、耐久性が数段にも増し、高価なカンチレバーを有効に再利用できます。
【資料御提供】
独立行政法人 産業技術総合研究所 中村 徹 様
EDSの定量分析を実現
炭素などの低原子番号の元素をEDS分析(エネルギー分散型X線分析)する際の帯電防止膜としてスパッタコートによる金膜が一般的でした。しかし金スパッタによる帯電防止は特性X線が金膜に吸収されるため、補正なしには定量分析ができませんでした。
NeocではプラズマCVDにより、数nmで試料表面全体に均一なオスミウム膜を形成出来ます。 数nmのオスミウム膜は特性X線吸収が極めて小さいため、分析結果に影響を及ぼすことがなく定量分析が可能です。特に炭素や窒素等の軽元素の定量EDS分析には最適です。
【関連文献】
“EDS quantification of light elements using osmium surface coating”
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences,
Volume 110, page 189-195,2015
カーボンFIB手法を超える、高い強度の極薄膜
FIB加工の際、イオンビーム照射時の加工周囲表面には散乱ビームダメージ領域が発生します。 このダメージ領域が保護するための前処理として、オスミウム金属被膜コーティングが有効です。
周囲表面のダメージをなくすことにより、極表面のナノレベル深度での解析ができます。
オスミウムコートによるEBSD帯電防止膜処理
●アルミナ(50×70×4mm t 程度)
【 SEM観察結果 】
蒸着なしではチャージアップし観察不可ですが、Osコートは回り込みが良いため、隙間の奥までチャージアップすることはありません。
【 EBSD観察結果 】
サンプルを約70度傾斜させた状態で測定
◆ユーザー様のコメント
「非導電性材料のEBSDにおいては表面の導電性を保ちつつ、表面近傍の結晶から放出される反射電子線を阻害せず、かつ、電子線に対して安定な表面コーティングが求められています。 Osコートは簡単に薄くて強い導電膜を成膜することができ、非常に綺麗な菊池線を得ることができました。
また、細孔があっても、その特徴とする回り込みの良さがあるため、帯電することがなく観察する事ができました。」解析に十分な菊池線を得ることができています
FE-EPMA前処理
●車室内ダストの分析・観察
◆ユーザー様のコメント
「車室内のダストを介した汚染物質の曝露が危険視されています。ダストに含まれる汚染物質には、有機物質だけでなく、無機物質も含まれているため、それらの測定には、有機・無機物質ごとに煩雑な前処理、そして別々の分析機器が必要になります。ダストの汚染の実態を把握するために、より簡便な測定法の開発が望まれています。測定法を開発すべく、横浜国立大学環境情報学益永研究室では、電解放出型電子プローブマイクロアナライザ(FE-EPMA)を用いて、車室内ダストに含まれる汚染物質の指標となる元素の元素分析を行いました。(環境科学会誌 30[1] 34‒43, 2017)。その際の前処理にNeoc-STBが使用されております。
EMPAは、電子線を試料表面に照射することで放出される特性X線を検出し、元素・定量分析が行える分析装置です。有機・無機汚染物質を同時に検出することができ、また局所領域の分析が可能なことから、ダストのような微小な対象に対しても有効です。 」
<Neocでの蒸着条件>
試料台にカーボンテープなどでダストを固定
真空度:0.5~1Pa
電流値:約10mA
蒸着時間:20~25秒
*膜厚:おおよそ10~12.5nm
【資料御提供】
横浜国立大学大学院 環境情報研究院 教授 益永茂樹 様
●FE-EPMAによる車室内ダストの二次電子像(SEI)、反射電子像(BEI)および各元素のカラーマッピングイメージ
複数の元素の分析が行えており、FE-EPMAの前処理としても有用性があることが分かります。
●FE-EPMAによるリン定量分析結果
リンの定量分析まで行えています。
●FE-EPMAによる車室内ダストの各固定方法における二次電子像の比較
凹凸のある試料でも良好な観察結果が得られています。
エネルギー分散型X線分光分析
Neocでスライドガラスにコーティングした1nm以下のOs被膜を、EDSでエネルギー分散型X線分光分析を行いました。
金スパッタコーティングと白金スパッタコーティングでは、金、白金の元素が検出されていますが、Neocは1nm以下の極薄膜が成膜できるため、グラフのようにOs元素は検出されず、EDS分析に影響を与えずデータが取得できることが分かります。
FIB加工処理
●メタマテリアル作製用の型 作製例 SIM像
FIB加工前処理に保護膜としてオスミウム金属膜を使用しています。
オスミウム金属膜は薄膜であっても導電効率が高く熱を逃がしやすいため、試料表面をFIB加工ダメージから守る保護膜として機能します。また、オスミウム金属膜は次亜塩素酸で容易に剥離することが出来るためFIB加工、分析後に膜を剥離し、別の分析に試料を用いることも可能です。