アプリケーション

プラズモニックナノホールを使用したウイルス様粒子の捕捉と検出技術

 抗ウイルス薬の評価やウイルス感染検査のための検出・特性評価技術には 多くの関心が寄せられています。従来、抗ウイルス薬の評価には、 細胞培養モデルの確立や長いインキュベーション時間などいくつかの問題がありました。 Insplorion LSPRでは、ナノホールアレイで補足したウイルスを直接リアルタイムで モニタリングすることができ、ウイルスと候補薬物の反応性をラベルフリーで検出します。

 アプリケーションノートの研究はInsplorion LSPRユーザーであるNanyang Technological大学の Nam-Joon Cho 教授のグループで行われました。Cho 教授はコロナウイルスやフラビウイルス ファミリーを含む広範な抗ウイルス治療の開発に取り組んでいる研究者の1人です[1]。 2007年から抗ウイルス研究をリードしており、LEADコンセプト( Lipid Envelope Antiviral Disruption )のパイオニアです。彼の研究の焦点はCOVID-19を引き起こすウイルスの脂質 エンベロープを破壊する方法を見つけることですが、この分野での研究の一部に 【Insplorion XNano II】と【Acoulyte】システムが使用されています。

[1] Jackman, J.A., Costa, V.V., Park, S. et al.
Therapeutic treatment of Zika virus infection using a brain-penetrating antiviral peptide.
Nature Mater 17, 971–977 (2018).
https://doi.org/10.1038/s41563-018-0194-2

ハイドロゲルへの標的分子の吸収と充填量の計測

 Xnanoは、ハイドロゲルのような多孔性材料に対して、標的分子が、浸透から充填、そして放出される様子をラベルフリーかつリアルタイムでモニタリングすることを可能にしました。 これは今まで計測することのできなかった未知領域を計測する新技術です。

アプリケーションノートはこちら

脂質2重膜の構造制御

脂質の吸着性、生成膜の構造と膜ペプチドの順序に関する相互作用情報を取得

 ナノプラズモニックセンサー(NPS)表面に複数のコーティング材を使用することで、表面材料の構成を制御することができます。 以下は脂質膜をプラットホームとして(小胞と二重膜)、複数の表面材料を使用した測定事例です。(ガラスを基盤とし、未処理のゴールドディスク、さらにTiO2とSiO2の順にコーティングを行いました。) 非常に高感度なナノプラズモックセンサー技術からは、脂質の吸着性のみならず、生成膜の構造と膜ペプチドの順序に関する相互作用の情報を得ることができます。

【測定手順】
 単一ラメラ小胞体の溶液は、1-palmitoyl-2-oleoylsn-glycero-3-phosphocholine ( POPC ) から構成されており、押出し成型法を使用したものを用意します。 TiO2 加工、SiO2 加工、またはガラス上のゴールドディスクからなる3 種のセンサーは、基質として使用され、溶液へと小胞を導入している間にNPS シグナルシフトを測定し、小胞体の吸着プロセスを測定できます。また、吸着率と層の配列はリアルタイム計測できます。

各種センサー表面の溶液中へ小胞を導入した際の典型的な反応曲線

低/高濃度での比較:脂質形成、湾曲したセンシングペプチドとの相互作用

ペプチドは影響を受けていない小胞を結合させますが、高濃度では小胞は破裂してSLBを形成します。

 表面材料上の自己形成プロセスや、ナノスケールでの相互作用の研究を、究極のセンサー感度を持つNPS技術を使用することで実現することができます。
 インスプロリオン社の各種コーティング加工センサーは、汎用性の高いプラットホームとして、ナノ構造の脂質膜加工における幅広い素材選択を可能とします。

【参考文献】
Controlling Lipid Membrane Architecture for Tunable Nanoplasmonic Sensing.
Goh Haw Zan, Joshua A. Jackman, Seong-Oh Kim, and Nam-Joon Cho,
Small
 2014, DOI: 10.1002/smll.201400518

色素増感太陽電池
色素分子とチタニア電極の相互作用解析

XNano 液相チャンバー 測定事例

【参考文献】
Time-Resolved Indirect Nanoplasmonic Sensing Spectroscopy of Dye Molecule Interactions with Dense and Mesoporous TiO2 Films,
Viktoria Gusak, Leo-Philipp Heiniger, Michael Graetzel, Christoph Langhammer, and Bengt Kasemo,
Nano Letters (2012) dx.doi.org/10.1021/nl3003842.

パナジウムナノ粒子触媒と水素の貯蔵解析
<X1測定事例>

 代替エネルギーの研究では、現在よりもクリーンなエネルギー源の探索がされています。 水素はより環境に優しい代替輸送燃料ですが、安全で信頼性が高い水素貯蔵媒体を必要とする点が重大な問題となっています。水素貯蔵材料としてはナノ粒子の方がバルク材料よりも有利であることはよく知られています。 下記は、代表的なマテリアルである、パラジウムナノ粒子について、温度別の水素貯蔵特性についての測定事例です。

【参考文献】
Indirect Nanoplasmonic Sensing: Ultrasensitive Experimental Platform for Nanomaterials Science and Optical Nanocalorimetry,
Christoph Langhammer, Elin M. Larsson, Bengt Kasemo, and Igor Zoric,
Nano Letters 10 (2010) 3529-3538.

PageTop