圧力可変電子染色デバイス(VPES-25)
~ OsO₄・RuO₄ を自動制御。高精度な電子染色を安全に実現~
VPES-25はOsO₄とRuO₄を使用した安全な電子染色装置です。
電子染色法はプラスチック等に結合し、SEM画像でコントラストを得る手法です。

簡単操作で高再現性の染色
自動制御システム
染色条件を設定すると、染色からガス排気までを自動制御で完了。
設定条件の保存も可能で、高い再現性を実現します。
可変圧力機能
試料室の容積を可変できるため、チャンバー内部の圧力を常圧・陰圧・陽圧など、
目的に応じて調整でき、より効果的な染色が行えます。
密閉チャンバーによる安全設計
装置外へのOsO₄/RuO₄ガス漏洩を防ぐ設計により、安全に作業できます。
電子染色とは?
電子染色とは、主に電子顕微鏡で観察する際にコントラストを高めるため試料へ重元素を結合させ染色する手法です。
通常の光学顕微鏡で使用される染色試薬とは異なり、電子染色では、重金属が用いられ、高分子鎖に導電性を付与して2次電子の発生効率を上げることで高いコントラストの電子顕微鏡像を得ることができます。サンプルのCH=CH結合などの特定の部位に対し、四酸化オスミウム(OsO4)、四酸化ルテニウム(RuO4)を結合させ、染色を行います。

従来の電子染色との比較

ドラフト内で昇華させたOsO₄やRuO₄と共に、サンプルを静置する気相染色法。
強い酸化力を持つガスに暴露するリスクがあることや、染色条件の管理が難しく実験ごとにばらつきが生じます。

OsO₄やRuO₄を装置内でガス化し、チャンバー内に選択的に供給することで、装置外へのガス漏洩を防ぐ設計。
デジタル制御により安定したガス供給が可能となり、結晶の繰り返し使用によって廃棄量の抑制にもつながります。
VPES-25圧力可変電子染色デバイスの安全性
電子染色に使用される試薬は重金属化合物であり、従来の染色方法では曝露による危険性が伴います。また過染色や脱ガスの影響により、染色の再現性を高めることは容易ではありませんでした。
そのため、通常電子染色を行う際には、防護具を着用し、染色剤との直接接触を避けるようにし、十分な換気が重要です。特に四酸化オスミウムなどの揮発性の高い物質を扱う際には、換気フードの使用が推奨されます。
VPES-25は密閉チャンバー内で染色を行い、脱ガスや染色工程は自動制御されているため、安全に再現性の高い染色を行えます。高分子ポリマーをはじめ様々な試料の観察において、高コントラストな電子顕微鏡像を得ることができます。
クリックしたままドラッグで前後左右、ホイールボタンでズームアウトができ、
全体の製品イメージをご確認いただけます。
アプリケーション事例
ABS樹脂
OsO₄とRuO₄で染色したPC/ABS アロイをSTEM / SEM で観察した画像です。
ABS 樹脂は(A) アクリロニトリル、(B) ブタジエン、(S) スチレンの頭文字を取った重合体で、PC はポリカーボネートの略です。
■超薄切片・STEM観察


STEM 像ではRuO₄で染色されたポリカーボネート(PC) が灰色で、アクリロニトリル・スチレン(AS) の白色部分とのコントラストがはっきりと観察でき、PC の海にAS が島状に存在することがわかります。
さらに島の中にOsO₄で染色されたブタジエンの粒子( 黒色) を確認でき、これらの境界をはっきりと観察できます。
■ブロック染色・SEM観察


SEM 像では、OsO₄やRuO₄で染色された高分子は電子線の照射によって放出された反射電子(もしくは2 次電子)によってコントラストが得られます。非常によく染まったブタジエンゴムは白く、染色効率が低いアクリロニトリル・スチレン(AS) は黒く観察されます。
