ネオオスミウムコータ (Neoc-Pro)

チャージアップのないアモルファス導電被膜を形成

 

オスミウムコーター(Tennant20)

プラズマCVDガス蒸着で、複雑構造試料もチャージ無く観察

グロー放電によるプラズマの状態

Neocでは純粋なオスミウム金属被膜を製膜するために、プラズマCVD成膜法を採用。 プラズマCVD成膜法は、真空チャンバー内に四酸化オスミウム昇華ガスを導入し、直流グロー放電によりプラズマ化させます。
この時、チャンバー内は負グロー相領域と陽光柱領域と呼ばれる領域に分かれます。
陽光柱領域でのコーティングは、残存ガスや不安定なオスミウムイオンが混在する領域のため、電子線ダメージに弱く破壊されやすい酸化オスミウム被膜が形成されます。
これに対し、陰極上の負グロー相領域では、オスミウム陽イオン化ガス分子が濃縮し、激しく衝突し合い、純粋なオスミウム金属導電被膜が形成されます。
これにより極薄膜でも強い電子線ダメージに破壊されない強固なアモルファス導電被膜を形成することが出来ます。

負グロー層と陽光柱の比較

負グロー相内でコーティングした方が細部までチャージアップなく観察が行えているのに対し、陽光柱内でコーティングすると、酸化Os被膜が成膜されていることで、電子線ダメージに弱い膜となり、チャージアップしているのが分かります。
負グロー相でコーティングが行えるNeocなら、ドリフトやチャージアップしやすいフィルターもクリアな画像が得られます。 

オスミウムコーター(NEOC)の負グロー層と陽光柱の比較
オスミウムコーター(NEOC)の負グロー層と陽光柱の比較

広い負グロー相領域で、純粋なOs金属の超薄膜形成ができます

オスミウムコーター(NEOC)の電極

Neoc電極は、特殊改良された新型の平行平板電極を使用。電極の周りをテフロンで覆っているため、放電がエッジ部分に周流することなく、試料ステージ全域で負グロー相領域の高さが均一となり、その高さも20㎜と格段に拡大。
高さのある試料も試料ステージのどこに設置しても、負グロー相領域での均一に成膜された純粋なオスミウム金属被膜の強固な膜がコーティングできます。

これに対し、従来の電極では負グロー相領域の高さは5㎜と浅く、これを超える高さの試料では陽光柱領域での酸化オスミウム被膜が形成されます。さらにプラズマが中央部とエッジ部分に立ちやすい特性から、試料へのコーティング導電膜は電子線に脆弱で不均一な状態になり、膜厚のムラが生じます。

オスミウムコーター(NEOC)の電極

アモルファス(非晶質)コーティング

オスミウムコーター(NEOC)のコーティング状態比較

オスミウムは原子番号76、白金族元素の一つです。

Neocは試料周囲をオスミウムガスで包みこみ、プラズマCVD方式で瞬時にオスミウムをアモルファス(非晶質)コーティングします。

試料上面、側面、下面、さらに複雑構造の奥深くにも均一に回り込むことが出来ます。このため熱ダメージなしに、極薄膜でも電子線ダメージに負けない強固な膜が成膜されます。

膜厚制御も試料ステージ全領域で均一に、再現性高くコーティング

オスミウムコーター(NEOC)の蒸着時間と膜厚データグラフ

1/100秒のタイマー制御で0.25nmの極薄膜から厚膜まで再現性高く成膜。

オスミウムの成膜量は放電時間に比例しますので、簡単にナノレベルの膜厚制御が出来ます。

プラスチック小片にコーティング後、TEMで膜厚を測定

オスミウムコーター(NEOC)の膜厚

上部から見た試料ステージの負グロー相領域の比較

オスミウムコーター(NEOC)の上部から見た試料ステージの負グロー相領域の比較

低倍画像をシャープに、高倍画像で粒状性の無い画像を取得

アモルファス(非結晶)で均一にコーティングされた試料は低倍・高倍観察どちらにおいても鮮明な画像が得られます。
深部までチャージなく観察ができ、これまでに見ることが出来なかった真の姿の観察が出来ます。

オスミウムコーター(NEOC)のオスミウムコート画像

0.25nm導電被膜で精密な極表面解析を実現

オージェ分析、EDS分析(エネルギー分散型X線分析)などの極表面分析は、そのままチャージがあっても直接分析か帯電防止膜としてスパッタコートによる金や白金膜、カーボン蒸着膜が一般的です。特にスパッタ―コートで試料全面をチャージしない様にするには、数10nm以上の膜厚が必要なため、数nm領域の極表面分析において得られたデータは、スパッタでのコーティング材料である金属部分を含み、試料そのものの定量分析は補正なしには困難です。特に、絶縁体試料を分析する場合においては、分析結果の精度を上げるためにスパッタコートで帯電防止を行っているケースがあります。

Neocでアモルファスコーティングした純粋なオスミウム帯電防止膜は、均一な極薄膜を試料全面に均一膜を形成できるため(EBSDで0.25nm極薄膜での研究実績あり)、極表面分析において分析範囲に及ぼす影響は非常に少なく、高精度の試料の定量分析が可能です。極薄膜でも完全に電子線から試料を保護できるアモルファス金属コートで、導電性に優れ、二次電子放出効率も良好なため、チャージなしで解析でき、十分な反射データを得られます。1/10タイマーでの膜厚制御で、極薄膜を再現性良くコートでき、簡単な操作で極表面分析(EDS、AES、XPS、EPMA)への利用に最適です。

発熱のないコーティング方法で、生体や繊維試料も熱ダメージゼロ

オスミウムコーター(NEOC)のコーティング時間

スパッタコータのように蒸着源からの輻射熱で、試料が熱ダメージを受けることがありません。
低電流でコーティング時間もわずか数秒で観察に充分な被膜が試料表面に形成できます。電流形状と回路の工夫により、単位面積あたりの印加電流も大幅に軽減させることに成功しました。

オスミウムコーター(NEOC)のオスミウムコート画像

充実の安心機構

真空ポンプ

オスミウムコーター(NEOC)の真空ポンプ

Neocで使用される真空ポンプのオイルは残存ガスがオイルに混入しないように、化学的に不活性で安定している、完全フッ素化油フォンブリンオイルを使用しています。

更に、真空ポンプ排気側には、オイルミストラップユニットのほかに活性炭臭気除去ユニットも設けてあり二段式の排気トラップとなっています。

経路としてはチャンバーでコーティングされた以外の微量残存ガスである四酸化オスミウムは真空ポンプに吸引され殆どが熱分解を起こし安定して毒性のない酸化オスミウム金属になります。更に上記活性炭フィルターにより残存ガスを完全に吸着するシステムで二重三重の安全真空ポンプシステムとなっています。

昇華筒2種

様々な研究分野でのニーズにお応えして開発された昇華筒は、特殊改造品を含め通算10種。 標準付属品としてお選びいただける昇華筒は2種をご用意しております。
※OsO4ガスの残存量は、本体の真空計の振れ幅で確認ができます。

ダブルガラス 2重密閉安全仕様メタル仕様
極厚硬質ガラスを採用した2重密閉構造のダブルガラス昇華筒です。
ダブルガラスになっているため、万が一の落下時もより安全です。ガラス透過でアンプルの状況を目視で確認できます。
落下時等の安全面はガラス仕様よりも安全です。
昇華筒の中では最も安価なタイプです。
※ガラス不使用

オスミウムアンプルと昇華筒

オスミウムアンプルは「富士フィルム和光純薬(株)」のアンプルを当社製品の適正品としております。 アンプルの容量は回数やガスの発散量特性から、500㎎、1000㎎(1g)容量が安定して活用できます。
昇華筒は長短のサイズ変異を割断ピンの交換などを含めて全サイズに対応できます。 (長さは67~52㎜まで、基準径はΦ12㎜となっています。) 

オスミウムコーター(NEOC)のオスミウムアンプル

オスミウムアンプル 基本情報
・500mg   :品番/159-00403
・1000mg(1g):品番/157-00404
※製品規格・包装規格の改訂が行われた場合、画像と実際の製品の仕様が異なる場合があります。

自動排気シーケンス  ※Neoc-STB, Neoc-STからのアップグレードができます

コーティング後、チャンバーを開けて処理済サンプルを取り出そうとした際に、微量の残存OsO4ガスを使用者が吸い込むことのないように、コーティング終了後に自動的にリーク・真空引きを3サイクル行い、チャンバー内を安全な大気に置換するシーケンスシステムです。
手動で行わなくても、自動排気によってコーティング後の大気置換作業のし忘れを防止。安全に試料の取り出しが出来ます。 

オスミウムコーター(NEOC)の自動排気システム

昇華筒オープン/クローズ検知  ※Neoc-STB, Neoc-STからのアップグレードができます

昇華筒の開閉を近接センサーで検知し、オープンポジション時に警告灯が点灯。安全に装置を使用して頂くための誘導システムです。
①コーティング終了時の昇華筒の閉鎖ポジションへの戻し忘れ防止
②コーティング終了後の上記自動排気シーケンス作業への移行時に、昇華筒の閉鎖ポジションが検知されてない場合に、自動排気シーケンス作業への移行を一時停止します。
※ご要望に応じて、フロントパネルでのオープン・クローズ表示LEDの点灯消灯や、アラーム等のカスタマイズも可能です。 

オスミウムコーター(NEOC)の昇華筒オープン/クローズ検知

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