VIDEODROPを使用した論文が神経学雑誌Brainに掲載されました
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アルツハイマー病患者脳脊髄液(CSF) 由来の細胞外小胞(EV) 測定
北海道大学 大学院先端生命科学研究院 脂質機能性解明研究部門 湯山先生の研究グループから、VIDEOROP(ナノ粒子イメージングアナライザー)を使用した論文が神経学雑誌Brainに掲載されました。
アルツハイマー病と細胞外小胞の関係
アルツハイマー病は認知症の原因となる病気の一つです。この病気は脳内に異常タンパク質が堆積することによって神経細胞が変性することで発症することが知られており、細胞外小胞はこのアルツハイマー病における神経変性疾患の病態に関与していると考えられています。
研究の概要とVIDEODROPの活用
北海道大学 大学院先端生命科学研究院 脂質機能性解明研究部門 湯山先生の研究グループでは、計136人の日本人患者を対象に、脳脊髄液由来の細胞外小胞に含有されるタンパク質のうち、11種類についてアルツハイマー病病理形成前後での増減を明らかにしました。
中でも「カテプシンB」については脳脊髄液のみならず、血液中の細胞外小胞における同様の変動を明らかにしており、この発見は新たな診断用バイオマーカー開発に向けての有力な手がかりとなります。
VIDEODROPはATN分類※に基づくアルツハイマー病患者および正常対照者の脳脊髄液および血漿由来の細胞外小胞の粒度分布測定に用いられました。
※ATN分類:
アルツハイマー病の分類システムとして提唱されている手法であり、A:凝集アミロイドβ(Aβ),T:凝集タウ(Tau),N:神経変性または神経損傷 の3つの脳病理バイオマーカーに基づく病気診断・分類法です。
VIDEODROPでの細胞外小胞測定について
少量のサンプルで測定が可能で、今回の研究では主解析項目であるプロテオミクスの残サンプルで測定が行えました。また短時間で測定ができるため、多検体の網羅的な細胞外小胞の品質確認にも適しています。また操作も簡便であるため、実験者によるばらつきが少ないのも利点でした。
北海道大学 大学院先端生命科学研究院 脂質機能性解明研究部門
特任准教授 湯山 耕平 様
Kohei Yuyama, Hui Sun, Risa Fujii, Isao Hemmi, Koji Ueda, Yukifusa Igeta,Extracellular vesicle proteome unveils cathepsin B connection to Alzheimer’s disease pathogenesis, Brain, Volume 147, Issue 2, February 2024, Pages 627–636,
https://doi.org/10.1093/brain/awad361