アプリケーション
LNPのゼータ電位解析
なぜゼータ電位を測定するのか
ゼータ電位とは、粒子特性を評価する際に用いられる重要な指標の一つであり、粒子表面の電荷状態やコロイド分散系の安定性を評価するために利用されます。
ゼータ電位は、粒子表面の電気二重層における「滑り面(slipping plane)」の電位として定義され、粒子同士の静電的な反発力または引力の大きさを示します。この値は、粒子が凝集するか、安定して分散するかを判断する上で重要な情報となります。
そのためゼータ電位の解析は、ナノ粒子を扱うさまざまな分野で活用されています。特にナノ医薬や細胞外小胞(Extracellular Vesicles:EV)研究などにおいては、サンプルや製品の安定性評価に欠かせない指標として広く利用されています。

ゼータ電位の測定原理
TRPSおよびNPSでは、電場を印加した状態で粒子がナノポアを通過する際の電気信号を解析することで、ゼータ電位を測定します。粒子がナノポアを通過すると電流に一時的な変化(パルス)が生じ、この信号から粒子サイズや移動挙動などの情報を取得することができます。
電場中での粒子の移動速度を解析することで、粒子表面の電荷特性を反映するゼータ電位を粒子ごとに評価することが可能になります。
TRPS / NPS法によるゼータ電位測定のメリット
ナノポア技術を用いたシステムでは、粒子一つひとつのゼータ電位を高精度に測定することが可能です。
柔軟な測定条件の設定が可能な TRPS(Tunable Resistive Pulse Sensing) と、より迅速で効率的な測定ワークフローを実現する NPS(Nanopore Pulse Sensing) の2つのアプローチを提供しています。
これらのシステムは、ゼータ電位を粒子単位で直接測定できる点が大きな特長です。従来の光散乱法などの平均値ベースの測定手法とは異なり、粒子ごとの電荷分布やサンプル内の不均一性(ヘテロジニティ)を詳細に解析できるため、ナノ粒子や生体粒子の特性評価においてより深い理解を得ることができます。

References
Abstract
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高精度でのナノ粒子測定を実現
PULSOIDでは、LNP製剤やその他の単分散製剤に対し、90%以上の粒度精度で粒子サイズを測定でき、高い信頼性を提供します。

単一粒子センシング機能を用いて、
粒子サイズと濃度を同時測定しました。

LNP測定にはCPC70用ナノポアチップを搭載し、
CPC50、CPC70、CPC100を測定しました。
粒子のサイズ精度は中央値(%)で示し、
エラーバーは四分位範囲(IQR)を表しています。
単一粒子分解能によるゼータ電位の解析
これまで測定が困難であった50~100 nmのナノ粒子に対して、単一ゼータ電位測定を実現します。
ナノ粒子の物理的特性を詳細に解析できます。

校正用標準粒子(CPN80、CPC70、CPN100、CPC100)とLNPサンプルを測定し、
ゼータ電位と粒子径を評価しました。
ゼータ電位とサイズを二変量解析することで、
粒子のサイズ分布とゼータ電位を同時に評価できます。